最近嫌なことがあったと言ってやけ食いする彼女。
彼女とは出会い系サイトで知り合い、セフレの関係にある。
身体目的の関係だから、彼女の私生活なんて気にならない。
まして仕事のことなんか干渉したくもない。
当然相談相手にもならない。
やけ食いしても「そんなに食べて大丈夫か」なんて心配することもしない。
勝手に食べろ、という感じ。
でも人間の胃袋なんて物理的に限界がある。
世の中には大食い選手権みたいなのがあって、短時間でバカ食いする猛者が登場してくるけど、あれは特殊な連中だ。
多くの日本人はあんなに胃の中に食べ物を入れられない。
限界を迎えたら必ず嘔吐する。
嘔吐。
そういえば女性が嘔吐するシーンは見たことがない。
男の嘔吐なら日常よく言かける。
駅や路地裏で泥酔者がよく吐いている。
女性の嘔吐シーンが見たい。
可愛い顔をした彼女が苦しみながら嘔吐し、胃の中のものを吐きだすシーンを思い浮かべた。
少し興奮する。
思った通り、彼女苦しそう。
「大丈夫か」
「少し散歩したら胃の中で溶けると思う」
外に出て夜の街を歩く。
俺はビールを二本ほど飲んだけど彼女はアルコール類は一切口にしていない。
「何だか気持ち悪くなってきた」
食べてすぐ歩いたのが逆効果だった可能性もある。
「すぐホテル行くか?」
その日は食後ラブホでセックスすることになっていた。
「だめ・・・やだ・・・やだぁ!」
道路の隅に寄りうずくまる。
「吐いちまえば楽になるよ」
彼女のことを心配してそう言ったわけではない。
嘔吐を見たいと思ったんだ。
「吐くもの吐いてすっきりしてホテル行こうぜ」
すると彼女、喉の奥に指を入れた。
すると口の形が鳥のように三角形になって、どろどろの吐瀉物が流れ落ちてきた。
「ぁうおうぅえええっ!」
べちゃべちゃとこぼれ落ちてくる。
「ぉええええっ!」
残飯をかき集めてぐちゃぐちゃにして片栗粉でとろみをつけたような吐瀉物だ。
胃液混じりの独特の臭気が漂う。
生まれて初めて女性の吐瀉物を見たよ。
そして苦しそうな顔を見た。
その夜は妙にサディスティックな快感に目覚め、彼女とのセックスも充実した。
あえぎ声をあげる彼女の口から吐瀉物が出てくるんじゃないと思った。
それからというもの、彼女をみると吐瀉物を思い出す。
またいつか嘔吐してほしいと思っているこの頃だ。