SMプレイは危険が伴うことがある。
聞いた話だが、女性の下着を口の中に圧しこみ、さらに粘着テープで口を塞いでひとりSMに耽っていた男が窒息死したようだ。
これは何ともアイロニックな話ではないか。セックスの快楽に浸っている人がたまに「死ぬほど気持ちがいい」と口にすることがあるが、彼は本当に死んでしまったのだ。
余談はこの辺にして、最近出会い系で知り合ったOLとのSMプレイにハマっている。
彼女のお気に入りはガムテープを使ったプレイだ。ガムテープを適当な大きさに切り、目、鼻、口、耳を塞いでしまうのである。
「息ができなくなってもいいの?」
「全く呼吸できないことはないから」
「苦しくなったらすぐに知らせるんだぞ」
ガムテープで塞いで顔の要素が消えた彼女は、のっぺりした妖怪のようになった。その不気味な顔を見ているだけでもサディスティックな快感が得られる。
彼女はときどき顔を右、左に向けて、苦しそうにしている。
「大丈夫? 苦しくない?」
と声をかけるが、彼女は反応しない。耳も塞いでいるから聞こえていないのかもしれない。
―このまま死んでしまったら事故死扱いになるのだろうか。それとも危険を予知したのに放置した俺が殺人罪に問われるのだろうか―
まだ完全にSMマニアになりきっていない俺はそんなこと考える。
彼女の顔の動きが慌ただしくなった。ガムテープでよく見えないが、眉間に皺を寄せ苦悶の中にある。やがて上体を左右に転がすようになった。両脚は自由だが両手は背後で縛っているので自由がきかない。
「大丈夫か」
「ううん」
苦しそう。
彼女が股を開いた。
毛の向こうにサーモンピンクの恥部が見える。俺はなにげにその敏感な部分に指を刺しこんだ。
なんと、ぐっしょり濡れているではないか。
彼女は苦しむどころか性的に興奮していたのである。
興奮した俺は固いものをその部分に挿入しピストンした。さすがとヤバそうだったので、鼻だけで呼吸できるようにしてあげた。彼女は、はあはあと息を吸う。苦しさから解放されて息を吸っているのか、快感に喘いでいるのかわからない。
快楽の追求は命がけだ。